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聞き合うこと

 聞き合うという形で勉強会をしているという話をすると、参加する事を尻込みする方がいらっしゃいます。どうも聞き合うというのは粗探しをしているという印象を持たれるようです。参加する事が億劫になったり何となくハードルが高い気がしたりする気持ちは私も体験があります。指導してもらっていた先生の目をみると物語を忘れそうになったり、あまりに真剣に聞かれて間違えたかしらと気が散った事を思い出します。今思えばその時も今も私たちがしているのは聞いて物語を受け取るという事で、実は誰が語ったのかはさほど問題ではないのです。聞いて受け取ることを楽しみたいと思っているので、うまく受け取れなかった時に何がいけなかったのかを考える場として勉強会があります。そもそも聞いて受け取るには誰かに語ってもらわないと受け取れないので語り手が必要だともいえます。

 皆さんがもうちょっと気軽に勉強会に参加し聞いたり聞かれたりすると、ストーリーテリングや読み聞かせがなんなのかの理解が深まるのではないかと思います。おはなしざしきわらしの会のメンバーは語り手としての経験が長い人が多く、勉強会もグループになっていて固定のメンバーと聞き合っています。そのため知らない人が聞き手に混じると語りにくいという印象を持つくらいにメンバーが馴染んでいます。固定のメンバーで語るということの安心感や語りやすさを思えば、そこに留まっていたくなる気持ちもわかります。けれど新しい風も必要なのかもしれないと最近思います。私たちが物語を渡したいと思っている子どもたちも徐々に変化しています。自分たちが予想した通りに聞いてくれるとは限らなくなりました。経験だけで越えられない聞き方をされることもないとはいえません。私たちがこれからも子どもたちに物語を渡していくために様々な聞き手に慣れていく時期かもしれません。子どもメインで語っていく事に違いはありませんが聞き慣れないおとなの聞き手にも聞いてもらうのもいいのかもしれないと思います。その際、勉強会は全員が必ず語りか読み聞かせをすることにしたらいいのだと思います。渡す側にもなってもらう事でお互い学ぶ場として勉強会が活性化すると感じています。